EDAツールとMicrosoft Azureクラウド・インフラを組み合わせた単一環境の提供により困難なチップ設計/検証を支援する従量課金制の柔軟な利用が実現
2022年3月30日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、複雑化が進む半導体の開発生産性と効率を大幅に向上させるため、クラウド環境での使用に最適化した新しいEDAツール利用モデルの提供開始を発表した。従量課金制の単一開発環境の提供により、チップ/システム開発の柔軟性が比類なきレベルに向上する。Synopsys Cloudを活用することにより、EDAツール実行負荷に対応できるよう最適化済みのMicrosoft Azureクラウド・インフラ上で、シノプシスのクラウド・ベース設計/検証ツール群を使用できる。コンピューティング・リソースとEDAツールのキャパシティが高度に相互依存するチップ開発を支援するソリューションである。
AMD社 上級副社長兼CTO Mark Papermaster氏は次のように語っている。「半導体には、これまでにないレベルで高性能化が求められており、開発企業では、複雑な機能を搭載し、かつ低消費電力なチップを短期間で開発しなければならないというプレッシャーが高まっています。当社は、多岐に渡るソフトウェアの実行負荷に対応した高性能なプロセッサを提供しています。3D V-Cache™テクノロジを用いた最新の3rd Gen AMD EPYC™プロセッサを実装したMicrosoft Azure HBv3クラウド・プラットフォーム上に構築されたSynopsys Cloudのようなイノベーティブなソリューションによって、その時々の開発に最適なコンピューティング・リソースとEDAツール群をクラウド上で利用可能となり、革新的なチップ開発能力を手にすることができます」
ダイナミックに変動するチップ設計/検証の作業負荷に対応できる柔軟性
クラウド上でのチップ開発は、製品の市場投入にかかる期間短縮のプレッシャーに加えて、急拡大するコンピューティング・リソース確保に取り組まなければならない開発企業に、進むべき道を拓くものである。イノベーティブな開発を行うデザイン・ハウスから、システム開発大手企業、スタートアップ企業に至るまで、これまで以上に多くのチップ開発企業が、クラウド・ベース設計/検証環境が提供する開発期間短縮/設計品質向上/開発コスト削減のメリットをフル活用するため、クラウド上での開発に移行しつつある。しかしながら、システム全体の複雑性が高度化する中で、必要なコンピューティング・リソース、そしてそれを最適化できる専門エンジニア、必要になるEDAツール群を正確に想定するのは、これまで以上に困難な作業である。
SaaSでのチップ開発を進化させるためMicrosoft Azureと協業
近年、チップ開発企業は、シノプシスやEDA各社が提供する個別のクラウド環境を業務利用するBYOC(bring your own cloud)手法の活用を進めてきた。この場合、パブリック・クラウド・サービス企業からコンピューティング・リソースを調達するにあたって、設計や検証の作業に必要なリソース量を事前に決めておく必要があるため、それによる作業制約にしばしば直面する。シノプシスは、Microsoft Azureクラウド・コンピューティング・プラットフォーム上でのSaaS(software-as-a-service)ベースのチップ開発環境の提供によって、チップ開発環境の概念を転換すべく、Microsoft社と緊密に協業している。このSaaS手法により、クラウド上のコンピューティング・リソースならびにシノプシスの設計/検証ツール群に直接アクセスし使用量に応じた支払いが可能となる。
BYOCモデルで既にクラウド・リソースを使用している企業も、Synopsys CloudとそのEDAツール従量課金サービスを活用することができる。今回のシノプシスとMicrosoft Azureの協業を通じて、設計者は、開発環境の柔軟性と開発期間短縮のメリットを手にすることができ、チップ設計/検証作業の複雑化に対処することが可能となる。協業内容と、それがもたらすメリットの詳細については、下記より入手できる。
ファウンダリのインフラ技術の整備
シノプシスは、クラウド・ベース開発環境でマニュファクチャリング・インフラ技術を円滑に使用できるようにするため、主要ファウンダリ各社との協業も行っている。各社のインフラ技術へのアクセスと管理を容易にするためクラウド向けに最適化した柔軟性の高い手法を提供していく。
シノプシス 社長兼COO Sassine Ghaziは次のように述べている。「この新しいSynopsys Cloudは、設計開発に変革を起こします。開発者は、その時々の様々な設計/検証ニーズに対応して、開発環境をスケールアップ/ダウンできるようになります。設計フローにAIが組み込まれる時代になって、より多くの開発リソースが必要になってきました。仮想空間上にあるコンピューティング・リソースやEDAツールを無制限に利用できる環境は、将来のニーズにも柔軟に対応できるセキュアな開発プラットフォームであり、新たなレベルの半導体イノベーションの基盤となるでしょう」
Microsoft社 Azure Hardware Systems & Infrastructure事業部のコーポレート・バイス・プレジデント Rani Borkar氏は次のように語っている。「チップ開発現場の相互依存性の高い設計フローやシステム全体の複雑性に対処するには、かつてないほど多くのコンピューティング/EDAリソースが必要になります。Microsoft Azureは、低コストでいつでも使え、かつ大容量の高性能なコンピューティング・インフラを拡張し続け、最先端チップの設計/検証負荷に対応したソリューションとしてご提供してまいります。Synopsys Cloudが提供するSaaSソリューションは、EDAツールの実行負荷に対処するためMicrosoft Azure上に特設されたソリューションであり、開発チームの生産性をさらに進化させるための柔軟性の高い設計/検証環境をお届けします」
提供可能時期
Synopsys Cloudは、下記より既に利用可能である。
https://www.synopsys.com/cloud.html
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、業界で最も広範囲をカバーしたアプリケーション・セキュリティ・テスティング・ソリューションならびにサービスを提供しているS&P 500カンパニーである。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、よりセキュアでハイ・クオリティなコードを開発しているソフトウェア開発者に、革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。
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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標または商標です。
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<お問い合わせ先>
日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-6746-3940
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