新しいARC VPX DSPが、IoT、AI、車載システム、音声/言語処理システム向けSoCの消費電力と面積を最大2/3に削減
概要
2021年9月20日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – エンベデッド・アプリケーションの多岐にわたる消費電力/性能/面積(PPA)の要求に応えるため、シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、DesignWare® ARC Processor IPファミリーを拡充し、128ビットのARC VPX2ならびに256ビットのARC VPX3 DSPプロセッサの提供を開始すると発表した。いずれも、より高性能なプロセッサである512ビットARC VPX5 DSPと同じ、超長命令(VLIW:very long instruction word)ならびに1つで複数データを並列処理する命令(SIMD:single instruction-multiple data)アーキテクチャをベースにしており、デザインの消費電力と面積を最大2/3に削減できる。これによりARC VPX DSP IPファミリーは、IoTセンサー・フージョン、レーダー/LiDAR処理、エンジン制御、音声認識、自然言語処理、その他のエッジAIアプリケーションなどのエンベデッド機器向けチップで所望のPPAを実現したい設計者に、より柔軟性の高いソリューションを提供する。
AI分野に特化したコンピューティング・ソリューションで業界をリードする台湾のスタートアップ Neuchips社のCOOであるCL Chen氏は次のように語っている。「AIベースのデバイスでは、超低消費電力で各種のDSPやマシンラーニング処理を実行できる特殊なプロセッサへのニーズが高まっています。ARC VPXプロセッサ・ファミリーを拡充し、様々なベクター長への対応を可能にしてくれたシノプシス社のIPソリューションにより、多種多様なアプリケーションに向けたチップを開発しなければならない設計者は、高性能な信号処理機能をチップに実装することが可能となりました」
ハイテク技術の調査会社であるTirias Research社の主席アナリスト Jim McGregor氏は次のように語っている。「より短いベクターに対応すべくARC DSPファミリーを拡充したシノプシス社のソリューションのお陰で、サイズや消費電力、熱などの制約が厳しい信号処理/AIシステムの実現が可能となりました。またVPXプロセッサは、浮動小数点演算性能が非常に高く、機能安全規格にも準拠しているため、車載システム、医療機器、製造自動化システムなど、急成長中のIoTアプリケーションにとって最適なソリューションです。シノプシス社のARCプロセッサは、世界中の250社を超す開発企業で用いられており、ARCを搭載したチップの出荷は年間25億個以上にも昇っています」
拡張性とコンフィギュラビリティの高いDSPプロセッサ
最小限の消費電力と面積で高度な並列処理を実行すべく、短いベクター長に対応したARC VPX2ならびにARC VPX3 DSP IPは、シングルもしくはデュアル・コアの構成で提供されるため、多岐にわたるアプリケーションの仕様を満たすことが可能となっている。VPXの各コアには、1つのスカラー実行ユニットと複数のベクター実行ユニットが搭載されており、8/16/32ビットのSIMD処理を実行することができる。VPX DSPは、半精度/単精度/倍精度の浮動小数点データ・タイプに対応しており、各コアでは、最大3つの浮動小数点演算パイプラインを活用することができる。線形/非線形の代数演算で用いられる特殊な数学関数を実行するための独自のハードウェア・アクセラレーション機能を搭載しているため、非常に精度の高い演算結果を達成できる。また、命令セット・アーキテクチャ(ISA)と読み出し/書き込み速度も強化されているため、高速フーリエ変換(FFT)のような一般的なDSP機能の性能も最大2倍向上する。ARC VPX2FSならびにVPX3FSは、メモリーやインターフェイス向けの誤り訂正コード(ECC)保護機能、セーフティー・モニター、ロックステップ機構、その他のハードウェア・セーフティー機能を搭載しているため、開発者は、ISO 26262 ASIL B、ASIL C、ASIL Dで規定されている最も厳格な機能安全水準の達成が容易になる。
包括的なソフトウェア開発環境
全てのARCプロセッサと同様に、ARC MetaWare Development ToolkitがVPX2ならびにVPX3をサポートしており、VPXハードウェア・アーキテクチャ向けに最適化された、ベクター長に依存しないソフトウェア・プログラミング・モデルを活用することができる。また自動ベクター化機能により、シーケンシャル・コードをベクター演算に変換してスループットを最大化することができる。DSPやマシンラーニング、線形代数演算等の強力なソフトウェア・ライブラリも含めて、包括的なプログラミング環境を提供しているため、最良のプログラム開発達成にかかる期間を短縮でき、ソフトウェアの移植性も高めることができる。
シノプシス IPマーケティング&ストラテジ担当上級副社長 John Koeterは次のように述べている。「DesignWare ARCプロセッサ・ファミリーにVPX DSPを加えることにより、当社はプロセッサIPプロバイダとしてのポジションを強化続けています。当社は、多岐にわたる消費電力/性能/面積の要求に応えることができる、高い拡張性とソフトウェア互換性を維持したDSP IPソリューションを開発者の皆様にお届けしています」
シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、PVTセンサー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IPプロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoCへの統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。
詳細情報はhttps://www.synopsys.com/designwareより入手可能。
提供可能時期ならびに関連情報
DesignWare ARC VPX2ならびにVPX3 DSP Processor IPは、主要顧客向けに2021年の第四4半期の提供開始を予定している。
DesignWare ARC VPX2FSならびにVPX3FS Processor IPは、主要顧客向けに2022年の第一4半期の提供開始を予定している。
詳細は、https://www.synopsys.com/designware-ip/processor-solutions/arc-vpx-dsp-family.htmlより入手可能。
9月21-22日開催、ARC Processor Virtual Summit 2021
所望のPPAの達成に不可欠な現実的知見を提供するARC Processor Virtual Summitが、米国時間の9月21-22日に開催される。
https://www.synopsys.com/events/arc-processor-summit.html
ARC Processor Virtual Summit Japan 2021は、11月12日の開催を予定している。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、業界で最も広範囲をカバーしたアプリケーション・セキュリティ・テスティング・ソリューションならびにサービスを提供しているS&P 500カンパニーである。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、よりセキュアでハイ・クオリティなコードを開発しているソフトウェア開発者に、革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。
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<お問い合わせ先>
日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-6746-3940
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