概要
理研がASIP Designerを用いて大規模なバイオロジカル・システムの解析に用いるカスタム・プロセッサを開発
専門分野に特化した特定用途向け命令セット・プロセッサにより、大規模な分子動力学シミュレーション・アルゴリズムを既存のプロセッサより30倍高速に実行
ソフトウェア開発キット(SDK)と合成可能なRTLを自動生成するASIP Designerにより、理研が、コンセプトレベルからインプリメンテーションまでの開発工程を6ヶ月以内に完了
2018年6月25日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、国立研究開発法人 理化学研究所 (以下、理研)が、シノプシスのASIP Designer を用いて、分子動力学(MD)シミュレーションを実行するための高性能な特定用途向け命令セット・プロセッサ(ASIP)の開発に成功したことを発表した。理研の開発チームは、専門分野に特化したASIPのコンセプト・レベルからゲートレベルまでの開発にASIP Designerを活用し、6ヶ月以内に開発を完了、かつ既存のプロセッサと比べて30倍の高速性能を実現した。同社の大規模MDシミュレータは、8,000個からなるASIPコアで構成されており、研究者は、生体分子の物理的な動きやその働きを従来型のシミュレーション・システムよりもより現実的に解析可能となる。
国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター 計算分子設計研究チーム チームリーダー 泰地真弘人(たいじ・まこと)氏は、次のように語っている。「今回の開発プロジェクトに与えられた期間は非常に厳しいものでしたが、シノプシス社はASIP開発ツールのトップ・プロバイダであり、同社のASIP Designer を使えば我々の非常に特殊なアーキテクチャの実装が可能になると信じていました。ASIP Designer により、命令セットをチューンナップし、我々の特殊なアルゴリズムを既存のプロセッサよりも30倍高速に実行することが可能になりました。これにより、新薬効果の確認など、重要な生体分子の相互作用のシミュレーションに必要な計算時間を年単位から数週間単位へと大幅に短縮することができるのです」
ASIP Designer を用いることにより、理研は、抽象度の高いプロセッサ仕様記述から、複数のプロセッサ・アーキテクチャをモデル化して分析することができた。ASIP Designer は、プロセッサ記述言語 nMLで定義されたこの同じプロセッサ仕様記述から、命令セット・シミュレータ、アセンブラ、リンカ、デバッガ、C/C++コンパイラなどのSDKを自動生成するだけでなく、合成可能なRTLも自動生成する。コンパイラがすぐに利用できるようになるため、理研は、自動生成された命令セット・シミュレータ上でCアプリケーション・コードをを直ちに実行できた。この独自のコンパイラ・イン・ザ・ループ手法や、デバッガの広範囲に及ぶプロファイリング機能により、理研は、各種のASIPアーキテクチャや命令セットを短期間で解析ならびに最適化し、目的のアプリケーションの実現にとって消費電力と性能の最適なバランスを備えたデザインに到達することができた。
シノプシス IPマーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「商用プロセッサでは達成できない特殊なアプリケーションに対応できるデザインを開発しなければならない設計者にとって、その要件に則してプロセッサ・アーキテクチャをカスタマイズし最適化できるソリューションは無くてはならないものです。ASIP Designer は、理研様が必要とされている独自のコンピュータ・システムにとって最適なアーキテクチャを模索し最適化するソリューションをご提供し、理研様は優れた処理性能を実現できるプロセッサの開発に成功されただけでなく、SoC開発期間の短縮も達成されました」
提供可能時期
ASIP Designerは既に提供中のソリューションである。
設計事例の詳細は下記より入手可能。
https://www.synopsys.com/content/dam/synopsys/japan/success-stories/riken-asip-ss.pdf
ASIP設計ソリューションの詳細は下記より入手可能。
ASIP設計開発サービス・パートナーの詳細は下記より入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jp より入手可能。
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<お問い合わせ先>
日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-6746-3940 FAX: 03-6746-3941
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